2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
利 博友 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (40283460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 福成 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90265918)
大槻 恒裕 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (40397633)
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Keywords | 地域統合 / 貿易協定 / 国際的生産・流通ネットワーク / 貿易円滑化 / CGEモデル / 東アジア / EU |
Research Abstract |
利は、10地域・26部門の動学的CGEモデルを構築し、東アジアにおける様々な地域統合のシナリオの影響を評価した。主な結果として、(a)二国間FTAよりも、ASEAN+6のような、より開かれた東アジアFTAの方が経済厚生を大きく上昇させる、(b)経済厚生の上昇と構造調整コストの間にはトレードオフが存在する、及び(c)輸出入の増加率がGDPの増加率よりも相対的に高い国が、地域統合の利益を増大させることが示された。これらの結果は、二国間FTAを推進していくよりも、より開かれた東アジア統合を推進してくことが望ましいことを示唆している。 木村は、東アジアにおける国際的生産・流通ネットワークと地域統合に関する理論・実証研究を進めるとともに、ASEAN+6を含む拡大東アジアおよびアジア太平洋地域における地域統合の現状と今後の推移についての考察を進めた。また、10月〜12月の間、オーストラリア国立大学に滞在して経済統合及びサービス貿易自由化についての研究を進めた。これらの活動を通じ、最先端の地域統合の経済効果測定手法に触れるとともに、東アジアと欧州との「事実上」及び「法的な」地域統合の性格の相違についても研究を深めた。 大槻は、地域統合の新しい形態として通関手続きの簡略化など貿易円滑化に着目し、その効果を分析した。統合の段階の異なる南アジアとASEANを始め東アジア地域を比較し、東アジア地域において貿易円滑化がより進んでおり地域内貿易もそれを反映していることを定量的に示した。貿易円滑化は関税撤廃に比べ当事国の輸出入の両方を促進する利点があるため、今後の地域統合の有力なツールになり得るという知見を得た。
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Research Products
(11 results)