2007 Fiscal Year Annual Research Report
婚姻の行動モデル解明と少子化対策としての婚姻推進政策のあり方に関する実証的研究
Project/Area Number |
19330053
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
八代 尚宏 International Christian University, 教養学部, 教授 (80245787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 由起子 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (50264742)
山下 陽子 (森田 陽子) 名古屋市立大学, 経営情報学部, 准教授 (00326159)
奥井 めぐみ 金沢学院大学, 経営情報学部, 准教授 (90333161)
鈴木 亘 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80324854)
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Keywords | 婚姻行動 / サーチモデル / 留保生活水準 / マッチング行動 / 非正規化 / 保育市場の規制緩和 |
Research Abstract |
今年度は、まず、今後の分析のための共通基盤として、婚姻関係の大規模アンケートを企画、実施した。年度当初から十分な時間をかけ、人々の婚姻行動の阻害要因や動機に関して、経済的、心理的、社会的環境要因を何度も活発に議論し、これまでの類似調査とは全く異なる新機軸のアンケート調査の作成に成功した。 アンケート調査の内容は、記述統計やクロス表程度の概要を今年度報告書としてまとめたところであるが、(1)男女間における具体的行動や意識の非対称性(結婚に求めるものの期待誤差が大きい)、(2)就職行動と婚姻行動の経済学的な類似性(留保賃金にあたる留保生活水準の存在とそれに影響する各要因の抽出、サーチモデルの理論的整合性)(3)経済的要因が婚姻行動に与える影響の深刻化(非正規化、低所得化が婚姻行動の障害となりつつある)などが、明確な傾向として現れており、今後の研究成果が大いに期待できるところである。ただし、現在鋭意、論文化を進めているところであるが、このアンケート調査を使った研究成果が具体的な業績として現れるのは、来年度以降であり、残念ながら、今年は業績には結びついていない。 それ以外では、婚姻後の出産行動に結びつく子育て支援(保育サービス)の市場化の影響や、その改革のあり方に関して、『季刊社会保障研究』誌上に2本の業績が生まれている(鈴木論文、周(研究協力者)論文)。また、鈴木においては、少子化・婚姻行動に関して、学会発表および参議院厚生労働委員会での講演を行った。また、鈴木は、東京大学社会科学研究所のSSJアーカイブスにおける「結婚相談・結婚情報サービスに関する調査」(0492)を用いて、結婚相手の求める条件が、年齢や所得が高くなるほど高くなり、そのことが婚姻マッチングを難しくしていることを定量的に評価した論文「結婚行動における留保水準とその要因に関する定量的研究(仮題)」を作成した。この論文も、今年度の報告書に掲載する予定である。
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Research Products
(5 results)