2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安川 文朗 Kumamoto University, 法学部, 教授 (90301845)
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Keywords | 医療安全 / 投資コスト / 費用対効果 / リスクマネジメント / 医学シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は、昨年度からの所属変更および研究組織編成上の制度改変により、当初予定の規模での病院での安全投資の詳細なデータ収集・分析を一部変更し、1)患者-看護師比率の違いと患者アウトカムとの関係に関するミクロデータ分析、2)日本におけるシミュレーション研修の実施実態と期待される効果に関する調査およびセミナー形式の情報交換・収集、3)社会レベルでの医療安全投資の観点から、救急医療システムの円滑な運営を妨げる要因に関する、近畿2府4県の一般住民を対象としたアンケート調査と解析、を行った。まず1)では、人的資源配置の違いが患者の入院生活の質に影響を与える可能性が指摘された。2)では、わが国の臨床研修教育にシミュレーション教育が相当普及している(コストが投下されている)ものの、運営コストの不足のため、十分な研修プログラムが実践できない状況が確認された。3)では、市民の救急搬送需要決定の背後に地域の医療相談体制の不備があり、それが結果的に非効率な救急態勢を生んでいる可能性が指摘された。 以上の分析結果から、次年度の最終的な研究方針として、(1)地域における適切な教育訓練資源の配置と医療機関内の人的資源配置に要する初期費用とランニングコストを、複数の医療機関・地域をモデルに解析すること、(2)コスト投下の成果として、患者ベースのアウトカム変化と、地域レベルの医療システム円滑化への貢献の有無を検討すること、そして(3)社会的レベルでの医療安全を確立するための投資コストを誰がどう負担すべきかについて、救急医療をモデルに検討すること、を実施し、今後の医療安全に要するコストの推計をおこないたい。
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Research Products
(4 results)