2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330063
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
近藤 正規 International Christian University, 教養学部, 上級准教授 (30306906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 忠能 日本貿易振興機構アジア経済研究所, 環境資源グループ, 研究員 (50450466)
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Keywords | アジア / 環境 / 共同体 |
Research Abstract |
途上国において開発と環境を両立させるため、政府、企業、市民社会、NGOの果たす役割を調査した。特に政府レベルの環境保全の取組みについて、経済学的政治学的視点より望ましいあり方を考察し、提言する。特に本年度明らかになったことは、市民社会とNGOの果たす役割である。住民が居住地に長くいる場合、お互いが顔見知りであるため、相互監視が働き、例えば森林の過剰伐採といった環境破壊がコミュニティにおいておきにくい。 このようなコミュニティの状況を十分に考慮することなく、国家がさまざま政策的干渉を行ったり、あるいは国際機関や二国間援助機関が支援を行った場合、結果としてそれらの政策が実際の効果を上げることが出来ず、環境問題についても悪い影響を及ぼすことが少なくない。このようなローカルガバナンスと環境の問題については、これまで社会学的な調査は多く行われてきたが、経済学的な研究が必ずしも充実していなかったため、これは成果であると考える。 もう一つの重要な点は、中国やマレーシアにおいてもそうであるが、国家が主導して僻地に移民を推進した場合、結果としてコミュニティを形成しにくいため、環境破壊につながる場合が少なくない。 ついで、企業に目を向けると、新たに進出した企業は、その進出先のコミュニティと密接な関係を保っている企業ほど、環境保全に対しても積極的な活動を行っている傾向がある。このような企業あるいは共同体という、いわば学術的にブラックボックスになってきた分野の分析を進めることはまことに興味深い。今後ともデータ収集に向けてのサーベイを続けていきたい。
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