2009 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢化・情報化時代におけるソーシャル・キャピタルの政策的含意に関する研究
Project/Area Number |
19330065
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲葉 陽二 Nihon University, 法学部, 教授 (30366520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克則 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20298558)
吉野 諒三 情報・システム研究機構統計研究所, データ科学研究系, 教授 (60220711)
矢野 聡 日本大学, 法学部, 教授 (70296193)
柴内 康文 同志社大学, 社会学部, 准教授 (60319457)
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 少子高齢化 / 情報化 / 経済政策 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題の総まとめとして、社会政策学会第119回全国大会において、研究メンバー5名がそれぞれの研究成果について報告をおこない、かつその論文を、日本行動計量学会『行動計量学』に投稿し、査読をへて掲載されることとなり、現在、印刷中です。主な成果を以下のとおりです。 1、市町村別の1人当たり老人医療費は、医療サービスの供給量と高齢者就業率と密接に結びついており、高齢者就業率はソーシャル・キャピタルの社会参加とも相関している。したがって、高齢者のソーシャル・キャピタル、特に社会参加を高めることにより、一人当たり老人医療費の逓減に資する可能性がある。 2、高齢者の社会参加の主観的健康感への影響を確認するために、愛知県武豊町にて実施した介入研究(高齢者向けサロンの参加者と非参加者を対象)では、お年寄り向けのサロンを通じた社会参加、社会関係資本の維持・形成が主観的健康感を向上させることが確認された。 3、高齢化社会における情報化技術の進展がソーシャル・キャピタルに与える影響について神戸市全域を対象としてそれを排他的、悉皆的に170の小学校区に分割し、国勢調査、2005年以降に行われた複数回の大規模市民調査の結果等から各地域の特性を算出するという手法で、地域におけるインターネット利用がソーシャル・キャピタルに与える影響についての検討を行った。地域のインターネット利用率は、住民のパーソナルネットワーク規模には影響を及ぼしていなかったが、地域活動の程度とはネガティブな関連を有していた。 4、ただし、国民性の国際比較からみると、人間関係のあり方は長期間にわたり比較的安定しており、かつ国によって異なるので、歴史的文化的経緯を十分配慮する必要がある。
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