2007 Fiscal Year Annual Research Report
未公開企業に対する銀行行動の決定要因とその影響に関する計量分析
Project/Area Number |
19330069
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
忽那 憲治 Kobe University, 経営学研究科, 教授 (00275273)
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Keywords | 中小企業 / 株式公開 / リレーションシップ / 利益調整 |
Research Abstract |
本研究の最大の特徴は、未公開企業の財務行動や銀行とのリレーションシップに関して、長期間にわたるパネルデータを用いて、これまでのクロスセクションデータでは明らかにならなかった特徴を実証的に分析することにある。そこで、本研究では、未公開企業と公開企業(未公開企業からある時点で株式を公開した企業)に関するデータについて、帝国データバンクの企業・財務情報であるCOSMOS1と2を購入し、本研究で使用可能なようにパネルデータの整備を行った。これによって、1万社を超える未公開企業の財務データについて、10年程度にわたるパネルデータの利用が可能となった。 また、データセットの整備と併せて、同テーマについて、海外の主要ファイナンス・ジャーナルに掲載された論文と、SSRNに登録されているワーキングペーパーをリストアップし、分析が不足しているテーマについての考察を行った。その結果、同テーマについて研究を進めるにあたって、まずは2つの基本的テーマから分析を始める必要があることが明らかになった。1つは、なぜ株式を公開するのかというテーマである。もう1つは、株式公開を行う際に、未公開企業はどのような利益調整(earnings management)を、どのようなときに行っているのかというテーマである。この2つのテーマは、未公開企業の財務行動を理解する上で重要かつ基本的テーマであるにもかかわらず、データセットの制約から研究が極めて限定されていることが明らかになった。
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