2007 Fiscal Year Annual Research Report
資産価格の決定および発見過程に関する実証研究:多国間の流動性と情報非対称性の影響
Project/Area Number |
19330071
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
丸 淳子 Musashi University, 経済学部, 教授 (30239149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 敬一 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00120858)
徳永 俊史 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (30329750)
大野 早苗 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (40307145)
伊藤 成康 武蔵大学, 経済学部, 教授 (60203155)
今井 英彦 武蔵大学, 経済学部, 教授 (90184803)
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Keywords | 流動性 / 市場構造 / 情報効率 / 質への逃避 / 投資家行動 / 信用リスク |
Research Abstract |
本研究プロジェクトの第1の研究目的,「各種リスク・ファクターに対する資産価格の反応の検証」に関して,分担者大野は主要7ヵ国の社債利回り,および信用リスク指標,流動性リスク指標を収集し,利回りスプレッドのリスク・ファクターに関する反応を検証するための準備をした。分担者伊藤はリスク・ファクターとボラティリティーの関係を検証するために実証モデルの検討を行った。また,分担者大野は日米の流動性が株価と為替レートに与える影響や資産問の相関関係に対する資本移動の影響などについても検証し,米国の流動性,特に流動性が縮小傾向にある時期に株価や為替レートへの影響度が拡大すること,LTCM危機など国際資本市場の-時的な流動性危機の発生時よりもITバブル崩壊のように実体経済の減速をともなう時期のほうが株価と為替レートの相関の変化が顕著であるとの結果を得た。 第2の研究目的,「市場制度の構造的問題と流動性に与える影響の検証」に関して,分担者徳永は日本企業に関するティックデータを収集し,イントラディ・イベントスタディの準備を行うとともに,短期リターンリバーサルと流動性の関係について検証した。また,分担者久保田と分担者徳永は慶応大学和田氏とともに企業の期待収益率が情報効率的市場のランダムウオークに従うかを調べ,小企業を含むポートフォリオでは正の相関が存在すること,一方個別銘柄については負の相関が見られることを発見した。企業の大小は,資本市揚における情報の伝播の差異にも影響を与える。これを見るため,分担者久保田は早稲田大学竹原氏とともに,ティックデータを用いて私的情報による取引がどれだけ大きいかを識別するPIN変数の推定を行っている。この研究成果は国際学会において学会賞を受賞している。
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