Research Abstract |
現在保有している土地・借の文書は地域的な偏りがあるため,文書があると見込まれるミャンマー(ビルマ)国内を廻って,文書を購入する計画であったが,ミャンマーに入国できたものの,8月の反政府運動とその武力弾圧,日本人記者の射殺事件等があって,ミャンマー国内の移動が制限され,ヤンゴン以外では十分な資料の収集が行えなかった。ただし,モンユワとマンダレー,およびチャウセーにおいて,知人の法律家を通じて,目的の文書の収集を依頼してきたので,今年度はかの地を再訪し,資料の収集を行う。 ロンドンでは,計画どおり,英国図書館とロンドン大学アジアアフリカ学院において,関連資料,とくにファーニバルコレクションと植民地期の土地問題に関する資料を閲覧し,必要箇所を複写およびデジタル撮影した。 また当初の計画では,農地の質入についての統計分析と論文の執筆を行う予定であったが,計画年度内に次々と農地質入に関する新たの文書をヤンゴンで入手することができたので,ともかく収集とデータベース化を優先させた。よって論文の執筆は,植民地ビルマの土地問題の背景としてのコメの輸出に関するものだけであった。 収集を優先させた理由は,当該文書の上部に印刷されている収入印紙(Revenue stamps)が,収集家の間で国際的な取引対象になっていて,価格が高騰しているからである。また,申請者自身による購入も含めて,文書が次々とミャンマーから諸外国に流出している。平成20年度からは,ミャンマー国外へ流出した文書を収集している個人を訪問して,写真撮影することを考えている。
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