2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的経済セクターを通じた若者の社会的包摂に関する国際比較研究
Project/Area Number |
19330110
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
宮本 みち子 The Open University of Japan, 教養学部, 教授 (60110277)
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Keywords | 若者 / 社会的排除 / 自立支援 / 国際比較 / 労働市場 / 雇用 / 社会的経済セクター / 福祉国家 |
Research Abstract |
オーストラリアおよびフィンランドにおいて、国および地方自治体の、教育・雇用・福祉および若者自立支援の施策に関する聞き取り調査を実施した。その結果、両国の特徴と思われたのは次の点である。(1)両国とも、職業教育が発達している。フィンランドに関していえば、高校の7割近くが専門高校で、生徒の年齢幅は広く、高校が生涯学習の場となっている。オーストラリアにおいては、職業教育を担うTAFEが大きな力をもっている。対象の年齢幅は広い。近年では中等教育段階で脱落するリスクのある生徒に対して、連携して職業訓練を行いドロップアウトを防ぐ取り組みも実施している。 (3)フィンランドのワークショップは、学校教育と職業訓練の中間的な機能を果たし、種々の理由から仕事に就くことの困難を抱える若者に対して、社会体験、自分探し、学びなおしなど、多面的な機能を複合的に有する6ヶ月の訓練の場となっている。同様の機能は、オーストラリアのグリーン・コアのような訓練プログラムにもある。(4)両国の支援プログラムは、経済給付と抱き合わせで実施され、積極的労働市場政策という特徴を有している。(5)社会的包摂政策は、就労の義務を強調しながらも、さまざまな困難を抱える若者に対しては所得保障付のゆるやかな社会参加の場を提供していている。一方、国内に関しては、大阪府・兵庫県において、社会的に不利な状況にある若者の実態と自立支援の取り組みを調査した。また、横浜市においては、昨年から定時制高校を無業で卒業・中退する生徒を地域の自立支援機関につなげる実践を学校と協力して実施し、その成果をもとに、システムの確立の前提として、生徒の生活の全貌を明らかにする調査を実施する準備を高校と連携して行った。
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Research Products
(9 results)