2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330111
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
佐藤 恵 桜美林大学, 法学・政治学系, 准教授 (90365057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 智樹 富山大学, 人文学部, 准教授 (80312924)
三井 さよ 法政大学, 社会学部, 准教授 (00386327)
崎山 治男 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20361553)
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Keywords | ケア / 承認 / セルフヘルプ・グループ / 感情労働 |
Research Abstract |
交付申請書の「研究実施計画」に記載した通り、一昨年度、昨年度の調査に関する検討を行い、報告書をまとめ作成した。その作業を通して、「研究の目的」に掲げた、脱専門化を志向する対人援助をもたらす社会構造と現場での課題について、諸知見を得ることができた。 セルフヘルプ・グループに関する調査研究においては、神経難病、認知症の家族介護者、自死遺児等のグループを事例として取り上げ、主にナラティヴの構成という観点から対人援助としての特性を明らかにした。 ケアに関する調査研究においては、障がい者たちの自立生活運動のグループを事例として取り上げ、主に脱専門性の観点から対人援助の特性を明らかにした。 犯罪被害者支援に関する調査研究においては、被害者の声を「聴く」こと、および、人と制度を「つなぐ」こと/人と人を「つなぐ」ことが、被害者の「回復」にとって重要な支援となりうることを明らかにした。 心理主義化に関する調査研究においては、2000年代日本社会における「心」への支援の内実が、それを数値化・尺度化することを通して「良き」支援を競わせる能力主義の原則を取り込んでいく機制を明らかにした。またそれを通して、対人援助への動員がなされることを示した。 本研究課題全体として、困難を抱える当事者とそれを支える人々の経験に関して、制度、物語、「心」、関係性、当事者性などのみに焦点を合わせがちな従来の議論の云面性を相対化しつつ、新たな社会学的考察を展開することができた。それと同時に、従来の対人援助論に見られがちな技法論・政策論に還元されないような、相補的な支援が成り立つ関係、アイデンティティを巡るポリティクスを示した。
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Research Products
(14 results)