2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330125
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩田 美香 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (30305924)
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Keywords | 母子生活支援施設 / 母子世帯 / 貧困 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
1.昨年度調査に続き、援助面でも課題を抱える障害を抱える母親への面接調査を実施し、同時に、彼女たちの援助者である施設のソーシャルワーカーに対しても面接調査を実施した。施設の援助は、母親の状況に応じて、子どもと母親双方への様々な支援を行っていたが、障害を抱えている母親の援助目標(ゴール)を設定することが困難なことから、長期的なビジョンに基づく支援というよりも、その場その場での支援が展開されていた。さらに、施設の提供する援助を「甘やかせている」と捉えるワーカーも存在し、利用者に対する認識も差が生じていた。2.これらの調査結果は、平成22年度全道母子生活支援施設研究セミナー(2010年7月実施)における講義とパネルディスカッション「施設における児童への支援をめぐって」、また平成22年度北海道・東北ブロック母子生活支援施設研究協議会(2010年9月実施)におけるシンポジウム「母子生活支援施設の展開-実践からの問い直し」において、実践現場へのフィードバックを行うとともに意見交換も行った。3.施設で行うソーシャルワーク実践の質を検討するために、研究協力者であるアメリカXACの相沢桂子氏を招聘し、鳥取県の施設における職員研修と事例検討会を行った。その中で、アメリカでの家庭訪問による援助と比べた相違点は、日本の母子生活支援施設の場合は、より施設長に個々のケースの責任が集中しており、それに伴って異職種との連携も施設として展開される場合が多い。このことは、担当ソーシャルワーカーにとって心強いことであると同時に、ワーカーが「自分のケース」に対して抱く責任が見失われるのではないか、という指摘を受けた。また、事例検討をより充実したものへと展開するために、XACで使用している「事例検討会のフォーマット」を提供してもらい、それを日本での施設へと応用すべく検討を継続している。
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Research Products
(2 results)