2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期の社会的孤立とそのライフコース的要因に関する量的・質的研究
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19330132
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
冷水 豊 Sophia University, 総合人間科学部, 教授 (00073015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 麻衣 宇都宮短期大学, 人間福祉学科, 講師 (30425342)
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Keywords | 社会の孤立 / 一人暮らし高齢者 / 社会的不平等 / 発現率推計 / 量的分析 / 質的分析 |
Research Abstract |
平成19年度には、社会的孤立の概念の操作化の方法を中心にした文献レビューを踏まえて、一人暮らし高齢者を対象にした訪問面接調査を、東京都板橋区で実施した。同区内の町丁目を地域特性によって4地域に分類し、そこに居住する一人暮らし高齢者を選挙人名簿から系統抽出法を用いて抽出し、3,080名を対象にした。面接の過程で実際には一人暮らしでないことが分かった516名を除き、1,221名から有効回答(回収率47.6%)を得た。回答者の平均年齢は75.1歳、性別は男性が27.0%(330名)、女性が73.0%(891名)であり、現在、収入になる仕事をしている人は19.9%(243名)であった。 社会的孤立状態を操作的に把握するために、回答者に、家族、友人や近所の人を含めて「親しくしている人」を最大で10名まで挙げてもらい、その1人ひとりについて、現在の交流の様態をたずねた。孤立状態の操作的基準として、親しい人が1人もいない場合を「極端な孤立」、1人以上いるがその人たちとの対面接触頻度と非対面接触頻度のいずれもが月に1回程度以下の場合を「やや孤立」とした。その結果、一人暮らし高齢者全体に占める「極端な孤立」の発現率は3.4%(40名)、「やや孤立」のそれは7.1%(85名)であった。この発現率に基づいて板橋区で孤立状態(極端な孤立+やや孤立)にある一人暮らし高齢者数を推計すると、2,040〜2,830名であることが明らかになった。孤立状態にある高齢者には、男性が多く、低所得者が多いことが確認された。 平成20年度には、上記の調査結果の詳細な統計分析を行うとともに、ソーシャルワーク的なニーズアセスメントとそのニーズに対する援助方法について、援助事例の質的分析を行い、必要な福祉的施策・援助と関連づけて総合的に整理し、研究全体の成果をまとめる。
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