2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期の社会的孤立とそのライフコース的要因に関する量的・質的研究
Project/Area Number |
19330132
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
冷水 豊 Sophia University, 総合人間科学部, 教授 (00073015)
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Keywords | 高齢期 / 社会的孤立 / ライフコース / 量的分析 / 質的分析 |
Research Abstract |
本年度は、はじめに、昨年度に実施した東京都板橋区に居住する一人暮らし高齢者を対象にした訪問面接調査(有効回答票1,391:有効回収率47.9%)の追加分析を行った。ライフコース上の要因として、配偶者、子ども、自分の親、きょうだい、配偶者の親・親戚と別居した時期についてクラスター分析を行い、高齢者の一人暮らしに至る主要な経緯を5つに分類した(配偶者同居型、親戚同居型、配偶者・子早期別居型、子どもなし型、長期一人暮らし型)。その結果、一人暮らし高齢者のなかでも、一人暮らしに至る経緯によって、所得や資産だけでなく、住環境、健康、社会参加や社会的孤立の問題においても格差が存在していることが明らかにされた。とくに、「長期一人暮らし型」と「子どもなし型」は、低所得の人、劣悪な住環境にある人、地域活動等に不参加の人、孤立状態(親族を含め、他者との対面・非対面接触頻度が月に1回程度以下)に該当する人の割合が高くなっていた。一方、事例調査は、板橋区と練馬区にある高齢者向け住宅等に住む一人暮らし高齢者46名を対象に行った。その結果、高齢者の社会的孤立は、幼少期の親との死別に始まり、低学歴や家出、不安定職への従事、離婚、失業など、生涯を通じた累積的な不利によって現在に至った長期的な孤立とあわせて、高齢期からの短期的な孤立があることが明らかになった。また、短期的な孤立のなかでも、加齢に伴って普遍的に経験する健康状態の悪化や家族・友人等との死別による孤立と、高齢期の離婚や破産などの特定のライフイベントの経験による孤立があることが分かった。
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