2008 Fiscal Year Annual Research Report
数学力コンポーネントに応じた診断テストと学習指導法の開発
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19330146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 伸一 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 教授 (70134335)
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Keywords | 数学教育 / 学力診断テスト / 指導法開発託 / 数学的問題解決 |
Research Abstract |
本研究の目的は,学習指導に有用な数学力診断テスト(COMPASS)を開発し,COMPASSの実施結果と実際に教育揚面で行なわれている学習指導との関連を探ることによって,数学力コンポーネントに応じた効果的な学習指導法を開発することである。そのため,(a)COMPASSの分析的研究と開発の推進,(b)COMPASSの診断結果と指導法との関連の検討,(c)数学力コンポーネントに応じた学習指導法の開発と実践的検討を行なう。今年度は,テストを実施したあと,データ入力,集計結果の表示,学習者へのフィードバックの作成などを一貫して行うシステムを開発し,いくつかの学校で試験的に実施し,実用化をはかった。同時に,COMPASSの実施によって明らかになった結果と各学校の実情に合わせて,指導が必要なコンポーネントを選択し,「学習法講座」として学習法の指導を行った。具体的には,「数学用語の理解」「図表を利用しての問題解決」「基本文章題の定着」「論理的判断の方略」「計算における工夫」という5種類の指導実践と,指導効果の分析を行なった。とくに,「計算における工夫」については,短い訓練でもある程度の効果が得られ,問題自体の構造分析(問題間の類似度評定値をデータとする多次元尺度法やクラスター分析による)もすすんだと言える。数学用語の理解については,指導プログラムについてはある程度確立され、低・中学力の学習者に対しては一定の効果が見られることがわかった。他の学習法講座については,短期間の訓練による定着は難しく、普段の授業にもとり入れて,継続的な取組みをしていく必要性が示唆された。
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