2009 Fiscal Year Annual Research Report
若者の仮想的有能感に関する総合的研究-特に形成要因と問題行動に着目して-
Project/Area Number |
19330147
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
速水 敏彦 Nagoya University, 教育発達科学研究科, 教授 (20116172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小塩 真司 中部大学, 人文学部, 准教授 (60343654)
木野 和代 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (30389093)
高木 邦子 聖霊クリストファー大学, 社会福祉学部, 助教 (00447864)
久木山 健一 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (10387590)
小平 英志 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (00442228)
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Keywords | 仮想的有能感 / 自尊感情 / 仮想型 / 形成要因 / 問題行動 |
Research Abstract |
仮想的有能感の形成要因に関しては、第一には昨年度に引き続き文化比較研究を行った。対象となったのはアメリカ、カナダ、シンガポール、韓国および日本の大学生である。その結果、日本に比べて個人主義的傾向の強いアメリカの大学生の仮想的有能感が高いことが示された。また、有能感タイプでは日本は仮想型と萎縮型が多く、自尊型と全能型が少なかった。また、シンガポールの中学での能力別学級編成については低い能力の学級で仮想的有能感は高かった。第二には特別の経験を与えることで仮想的有能感が変化するのかを検討したものである。キャリア教育科目受講することや、社会福祉援助技術現場実習を修することにより仮想的有能感が低減するのではないかという仮説のもとに断的調査がなされたが結果は明確ではなかった。また、一時点の調査ではあるが、大学生にこれまでの成長過程での遊びの内容および遊びから学んだことを尋ね、仮想的有能感との関係をみたところ、遊びから他者意見尊重、リーダーシップ、仲間といる楽しさを単んだ者ほど仮想的有能感が低いことが明らかにされた。他に形成要因として親子関係をとりあげた。仮想型の家族関係は葛藤性が高く、父母の養育行動は受容的でなく他者と比較しやすく統制的であるといえた。 第二には問題行動に着目した研究についてであるが、いじめとの関係について検討した論文が出版された。仮想的有能感をいだくことが、いじめの被害者にも加害者にも導いていることがわかった。 その他の研究としては仮想的有能感と社会観を扱ったものをあげることができる。仮想的有能感の高い人は社会をネガティブにみやすいことが指摘できる。さらに他の研究では彼らは社会だけでなく自分自身にも劣等感をもちやすいことが論じられた。
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Research Products
(4 results)