Research Abstract |
研究代表者の生島浩は, 精神障害・発達障害のある非行少年への臨床機関の取組みに関する実態調査のため, 福島県・東京都・京都府等の児童相談所・児童自立支援施設・少年院へ実地調査を継続的に実施した。その成果は, 平成20年5月にトルコのイスタンブールで開催された「第18回世界児童青年精神医学会議」において, わが国の非行臨床, 特に家族支援に焦点を当て発表を行った。 また, 平成20年5月に福島県郡山市で開催された「全国児童自立支援施設長会議」において, 基調講演を行い, 本研究の成果を基に発達障害等のある年少少年に対する施設処遇のあり方について, 全国の施設責任者に対して課題提起を試みた。さらに, 平成20年6月東京において, 「日本家族研究・家族療法学会第25回大会」に学会副会長として運営に参画, 座長などを務めた。 研究分担者の廣井亮一は, 現行の少年司法システムの問題と課題について, 加害者(少年)に対する心理臨床的アプローチを「加害者臨床」と称して提案し, 新たな司法臨床の方法論的視座を構築するための理論的検討を行った。 研究分担者の岡本吉生は, 精神障害・発達障害の疑われる児童生徒に対して, 教育や福祉場面で具体的にどのような事例に遭遇したのか, その際の課題は何か, 有意義な対処法として他の専門職と共有できる知見があるかなどについて, 530名分のアンケート調査結果を得て集計・分析した。 3名の研究グループは, 法学や福祉を専攻する研究協力者と共に, 平成20年11月にオーストラリア・ビクトリア州において, 知的障害のある犯罪者に対する福祉・司法が協働したプログラムの実地調査を行い, また, 平成21年3月には, 福島市で「非行臨床の新潮流」と題するシンポジウムを開催して本研究の成果公表を行った。
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