2007 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病に対する心理療法プログラムの開発とその効果の実証的検討
Project/Area Number |
19330155
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
坂野 雄二 Health Sciences University of Hokkaido, 心理科学部, 教授 (10134339)
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Keywords | うつ病 / 心理療法 / 認知行動療法 / 効果研究 |
Research Abstract |
入院うつ病患者を対象として、(1)抑うつ気分の改善と人間関係の改善をねらい、認知療法と社会的スキル訓練を中心とする集団認知行動療法プログラム(5セッション)、および、(2)ストレスマネジメントプログラムと認知療法による再発予防をねらった集団認知行動療法プログラム(5セッション)を作成した.また、プログラムのマニュアルと教材が作成された.各プログラムについて、各回3〜6名からなるグループセッションを行い、合計51名のうつ病患者を対象としてその効果を見る治療研究を行った.各セッションの指導は、今回のプログラムのマニュアルに基づいて訓練を受けた臨床心理士によって実施された. 治療効果の判定は、(1)抑うつ気分の評定、(2)DSM-IV-TRに基づく構造化面接による症状評価と重症度評価(Mini International Neuropsychiatric Interview)、(3)Beck Depression Inventory、(4)社会的スキル、(5)抑うつ気分の維持に影響を及ぼす認知の特徴、(6)家庭における行動評価、(7)日常生活でのストレス反応、(8)患者さんの主観的QOL、(9)病棟担当看護師による評価、に基づいて行われた.5週間のプログラムの前後において評価を行ったところ、両プログラムは、(1)抑うつ気分、(2)症状評価と重症度評価、(3)BDI、(4)社会的スキル、(7)日常生活でのストレス反応、(8)病棟での行動評価という指標において、その改善に効果的であることが明らかにされた.また、(1)患者さんの主観的QOL、(2)抑うつ気分の維持に影響を及ぼしている認知の特徴、(3)家庭における行動評価の3点においても改善を示していた. 本研究の結果は、入院うつ病患者に対する認知行動療法プログラムの効果を示している.また、次年度以降に実施される症例数を増加させた効果研究、および退院後の追跡研究に向けての基礎資料となっている.
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