2008 Fiscal Year Annual Research Report
比喩理解と比喩生成の心理学的メカニズムに関する実験的・理論的研究
Project/Area Number |
19330156
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 正宣 Tokyo Institute of Technology, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (40155685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 航 独立行政法人情報通信研究機構, 知識成コミュニケーション研究センター, 長期専攻研究員 (30425764)
中本 敬子 文教大学, 教育学部, 講師 (50329033)
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Keywords | 言語統計解析 / 比喩理解 / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
19年度に構築した確率的概念構造を用いて、比喩生成の基本モデルを構築した。 19年度に新聞データ10年分から、形容詞-名詞の係り受け共起頻度データを抽出し、抽出したデータに対し、言語統計解析を行い、形容詞・名詞の潜在意味クラスを確率的に推定することで、形容詞・名詞の確率的概念構造の構築を行った。 当該年度では、19年度に構築した確率的言語知識構造に基づくニューラルネットワークを用いて、「形容詞+名詞」という入力に対し、「Xのような名詞」という比喩表現を生成する計算モデルを構築した。モデルの構造は、入力層、中間層、出力層の3層からなる階層型フィードフォワードニューラルネットワークであり、入力層の各ノードは各単語(名詞または形容詞)に、出力層の各ノードは各名詞に対応づけられる。また、中間層の各ノードは、言語統計解析により推定された形容詞・名詞の潜在意味クラス、すなわち人間の概念カテゴリに対応づけられる。各層のノード間を結ぶリンクの結合強度には、言語統計解析から得られた、単語(形容詞または名詞)が与えられた時の潜在意味クラスの条件付き確率を用いている。 さらに、比喩生成の心理学実験を行った。実験では、被験者に「形容詞+名詞」を提示し、「Xのような名詞」という形式の比喩を生成させた。モデルのシミュレーション結果と心理学実験結果とを比較することで、モデルの心理学的妥当性を検証した。 上記の手続きを通し、概念カテゴリを通じて比喩が生成されるという、比喩生成の基本メカニズムを理論的かつ実証的に明らかにした。
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