2008 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定における知覚と報酬の関係ーfMRI・神経細胞記録・計算モデルの統合研究
Project/Area Number |
19330161
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
奥田 次郎 Kyoto Sangyo University, コンピュータ理工学部, 准教授 (80384725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782)
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Keywords | 意思決定 / 報酬予測 / 知覚的曖昧性 / ドーパミンニューロン / 黒質-線条体 / 内側前頭葉 / 強化学習モデル / 機能的MRI |
Research Abstract |
本研究は、人間や動物の意思決定プロセスにおける脳内の報酬情報処理と刺激知覚処理との関係をヒトの機能的MRI (fMRI)実験、実験動物(サル)における神経細胞活動記録、ならびに理論計算モデルの3点から検討する。平成20年度は、19年度の研究を発展させ、視覚刺激としてガボールパッチ刺激を、また報酬として金銭報酬を新たに導入して実験を行った。すなわちガボールパッチ刺激の輝度コントラストを操作して刺激の明瞭度を変化させたときの脳内報酬関連活動を計測し、報酬予測・予測誤差学習モデルに刺激明瞭度のファクターを加味した数理モデルによりフィッティングを行った。この結果、報酬予測とともに報酬予測誤差も刺激明瞭度の影響を受けるモデルが被験者の行動と脳内報酬関連領野の活動をよりよく説明するという結果を得た。また、報酬として金銭を用いた場合、さらには金銭の損失という負の報酬を用いた場合の脳活動についても検討し、ジュース報酬の場合と同様に金銭のような概念的な報酬ならびに罰の予測活動も刺激明瞭度によって影響を受けることが明らかとなった。このように、ヒトfMRI実験、サル神経活動記録、理論計算モデルのそれぞれから、報酬情報処理の様々な局面において、刺激の明瞭性に応じて脳内では様々に異なる報酬予測の神経表象が混在するということが指し示された。しかしながらこれまでの実験課題では刺激と報酬の条件付けを行うのみであったため、これら多様な報酬予測が被験者の意思決定にどのような役割を果たすかについては不明である。これまでの研究成果に基づき、この点をさらに明らかにするための実験パラダイムの構築を行う。
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Research Products
(22 results)