2009 Fiscal Year Annual Research Report
学校教育と社会的不平等に関する国際比較研究:PISAデータの分析を中心に
Project/Area Number |
19330189
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
尾嶋 史章 Doshisha University, 社会学部, 教授 (30177224)
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Keywords | 社会階層 / 国際比較 / 学業達成 / 社会的不平等 / PISA / 所得移動 / 多水準分析 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究は、PISAデータを中心に、学業達成・教育達成に及ぼす出身階層や学校教育の影響に関する国際比較を行うことを目的として実施してきた。本年度は、以下の研究成果を得た。 1.学業達成の規定要因分析 PISAデータを用いて、その中心的な指標である学業達成に及ぼす出身階層と学校の影響を分析した。今年度は2006年データも加えて国際比較分析を発展させた。この結果、学習時間や学校を用いたマルチレベル分析によって、学校が出身階層と学業達成を媒介するような欧米諸国とは異なる「東アジア型」に分類されることが明らかになった。 2.職業期待の形成要因分析 PISAは学業達成スコアを中心に置いているが、同時に、そのほかの行動・意識・態度などに関する多様な指標も含んでおり、この中で職業期待に関する分析を行なった。その結果、日・独・米のトラッキングに関する比較分析では、日本はドイツやアメリカとは異なり、日本のトラッキング構造は、「後発的な」産業国家であるが故の特徴を持つ可能性が示唆された。 3.学校教育と関わる構造的不平等に関する国際比較 学校教育が関わる社会的不平等の問題として、教育を媒介とした世代間所得移動の分析を行った。今年度は自営業者も含めた日本のモデルの精緻化を行い、これまでに蓄積された他の国々と比較可能な推定を行った。その結果、日本の世代間所得弾力性はかなり低く、世代間の所得移動に関してはかなり平等な国であるという点が明らかになった。 4.学会報告ならびに論文執筆・成果報告書の作成 学会報告や学術雑誌へ論文を投稿・掲載するとともに、今年度の成果の一部を第2次報告書としてまとめ、刊行した。
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Research Products
(6 results)