2010 Fiscal Year Annual Research Report
英国市民教育の批判的摂取に基づく小中高一貫シティズンシップ教育カリキュラム開発
Project/Area Number |
19330201
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
水山 光春 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80303923)
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Keywords | シティズンシップ教育 / 市民性教育 / カリキュラム開発 / 小中高一貫 / イギリス / 社会科教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は,変質する21世紀を担いうる市民の育成をめざす教育を,英国シティズンシップ教育の批判的摂取に基づいた小中高一貫カリキュラムの作成を通して,検討・構想することにある。そのために本年度は,(1)カリキュラムの大枠となる概念フレームワークの検討,(2)英国におけるシティズンシップ教育の現状や,カリキュラム・教材の開発状況の調査,ならびに英国側研究者との情報交換,(3)カリキュラムフレームワークに基づいた学習単元の開発および最終報告書の作成を行った。 具体的には,(1)については,日本と韓国や中国・アメリカ・シンガポール等の諸外国との比較を通して,シティズンシップ教育の理念が「自由主義」ならびに「市民共和主義・共同体主義」を基調に,「小さなシティズンシップ」と「大きなシティズンシップ」を目ざすものに大別されることを示すとともに,日本の学校カリキュラムにはない英国シティズンシップ教育カリキュラムの特徴が,教科論・カリキュラム論・授業論・評価論をつなぐ連結子としての「ストランド」の考え方にあることを明らかにした。(2)については,国立教育調査研究財団(NFER)やシティズンシップ財団(CF)を訪問し,必修教科として導入後10年の評価やストランドの視点からカリキュラムを捉えることの有効性を確認した。(3)については,(1)(2)の成果をもとに,「社会的道徳的責任」「コミュニティへの関わり」「政治的リテラシー」の3つのストランドを視点として実際のテキストや教材を分析するとともに,3つのストランドを組み込んだ小中高一貫カリキュラムモデルを「公共性」「国際理解」「メディア」「環境」の4つの領域から検討するとともに,具体的な単元学習モデルを提案し,最終報告書にまとめた。
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