2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有本 昌弘 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 教授 (80193093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 亜矢子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 准教授 (50271614)
千々布 敏弥 国立教育政策研究所, 研究企画開発部, 総括研究官 (10258329)
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Keywords | 授業観察 / 評価指標 / 教師観察 / 授業改善 / アセスメント / リフレクション |
Research Abstract |
国内版作成による授業の改善には、主としてフィンランドとの比較をベースに、次のスタンスで臨むことにより、成果を生み出すことができた。手続き的には、宇都宮市、和歌山県で、指標と項目を一般的な分かり易さを吟味してもらった。そこから出てきた成果は以下の通りであった。 1つ目は、海外レビューから教員をカリキュラム・アセスメントから見つめ直すという点である。特に、「多様なアセスメント」という項目を、その背景にある学習そのものを押さえつつ、その意味を追究しつつ理解に努めることとした。 これに対しては、OECDの形成的アセスメントという著書の翻訳を進めフィンランドの中等教育の例を訪問するなど掘り下げた。これにはOECD専門家セミナー『キーコンピテンシーと形成的アセスメント』での国内における概念の検討などが含まれる。さらに、英国のTLRPというプロジェクトのレビューが重要と考え、研究を進めた。こうした中で、国内での、生きる力に新味を出すべく総合学科のイノベーションから学ぶことに努めた。 2つ目は、それと関連してであるが、国内で改善につながるというポイントには、何らかのメルクマールが必要ということで、全国学力調査結果に着目した。そのスコアの高い地域での、秋田・福井等いわゆる拠点校あるいはリーダーにアプローチするという方法をとった。それは、スクールベーストネットワークといわれるもので、SBE&Aという名称で研究会をたちあげ、『教育・研究組織における評価に関する総合的研究』という報告書にも反映させた。 以上2つから、ソーシャルキャピタルの重要性に言及する必要性、それに生涯学習につながるインフォーマルラーニングを明示する必要性を感じ、実証的に国内から切り取る枠組を提示し、APERAアジア太平洋教育研究学会(Asia-Pacific Educational Research Association: APERA 2008)で発表した。注目したいのは、秋田市算数・数学研究会の一部垣間見る限り、ダブル・ループ・ラーニングと拡張としての学習に近いものとして解釈されることを明らかにした。最終報告は、研究報告書『授業観察国際指標の国内版作成による授業の改善』という冊子にまとめ、図書館等に寄贈した。
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