2009 Fiscal Year Annual Research Report
残存機能を開発する障害児教育法-時間・空間的文脈の誘導効果とその応用-
Project/Area Number |
19330214
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
早川 友恵 Teikyo University, 文学部, 教授 (60238087)
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Keywords | 視覚障害 / 障害児教育 / 劣化画像 / 視覚認知 |
Research Abstract |
視覚障害児が自らの残存視覚を活用した新たな情報処理システムを獲得するための支援教育について、その基礎研究を行った。生態情報処理系の特性、すなわち入力情報の処理が心内語彙辞書や予測によって促進・抑制される現象を認知神経科学の観点から再考し、障害児支援の教育現場にフィードバックできる学習理論を提案し、障害児のQOLの実質的向上を目指す。 平成21年度は、本研究課題の最終年度に当たるため、実験結果の確認作業・研究成果のまとめ・成果の出力に向けた準備等を行なった。1.情報劣化の程度と単語認知の関係について行動実験を行ない、その結果をまとめた。刺激作成のアルゴリズムについては、いくつかの研究グループから問い合わせがあり、脳機能計測の結果と併せて論文で紹介予定である。2.同様の刺激をもちい、非侵襲脳機能計測(機能的磁気共鳴画像法・全頭型脳磁界計測法)を行った。機能的磁気共鳴画像法では、視覚的に劣化した言語情報を補うために、左)視覚性言語野・左右)前頭下部ブロードマン47野・ブローカ野が活性化することが解り、語彙-意味記憶が劣化文字を補うトップ・ダウン処理の脳内機構を明らかにした。研究成果は英文誌に論文投稿中である。3.劣化単語情報に続き、物体情報の劣化についての実験を行うための準備を行った。延べ1500名のアンケート調査から、約200個の標準物体画像を作成した。画像の評定結果を含めて、日本心理学会第74回大会(平成22年)で報告し、論文にまとめて発表予定である。またコンテンツは、いずれかの公式サイトからダウンロードできるように準備中である。4.予測形成と視覚認知に関する行動実験をおこない、その結果、予測形成に要する事前情報数が明らかになったが、感度変化については十分な結果が得られなかった。抑制された残存視覚の認知を促進する訓練装置の開発については、視線計測法の結果を反映する方法と併せて、検討中である。
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Research Products
(8 results)