2007 Fiscal Year Annual Research Report
乗数イデアルと密着閉包の可換代数及び計算代数の視点からの研究
Project/Area Number |
19340005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 健一 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (80240802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 光靖 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (10208465)
藤野 修 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (60324711)
伊山 修 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (70347532)
寺井 直樹 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (90259862)
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Keywords | 乗数イデアル / 密着閉包 / 判定イデアル / 形式的冪 / 特異点 / 局所化 / 完備化 / 正則局所環 |
Research Abstract |
ここでは研究代表者の研究成果を中心に報告する。 研究代表者は、九州大学の高木俊輔氏と共に、一般化された判定イデアルの基本的性質である局所化との可換性及び完備化との可換性について研究し、その成果を形式的冪と通常冪の比較に関する定理の証明に応用した。この結果はホクスターとヒューネケが証明した定理を改良している。一般化された判定イデアルは、東北大学の原伸生氏と研究代表者が定義した概念であり、正標数の可換代数を利用して(特異点解消や消滅定理を用いることなく)定義できる。また、判定イデアルはホクスターとヒューネケにより導入された密着閉包を計算する際に重要な役割を演ずるテスト元から生成されるイデアルのことである。最近、ブレンナーとモンスキーが密着閉包と局所化が必ずしも可換ではないことを証明した。判定イデアルと局所化の可換性についてもは未解決の場合が含まれているが、こちらは肯定的に予想されており、その証明を与えるためには、研究代表者らが証明した議論の精密化が必要になると予想される。 乗数イデアルの十分大きな標数における還元は、一般化された判定イデアルで与えられるが、標数をどの程度大きくとればよいかは指数に大きく寄っている。そこで、研究代表者は、一般化された判定イデアルの指数が標数に依存する場合について、ミシガン大学のムスタタ氏と共に研究を始めた。ひとつの成果として正則局所環の勝手なイデアルが一般化された判定イデアルとして得られることを証明した。これは乗数イデアルの場合との決定的な違いを与えている。また、具体例と共に乗数イデアルに対する基本的な性質のいくつかは判定イデアルに対して成立しないことを証明した。同様の結果が特異点を許す場合にも成立するかどうかを調べることは今後の課題である。
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Research Products
(4 results)