2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 啓 Kyoto University, 数理解析研究所, 教授 (00201666)
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Keywords | インスタントンの数え上げ / 偏屈連接層 / 壁越え / モジュライ空間 |
Research Abstract |
代数曲面を一点でブローアップした曲面を考える。このとき、その連接層の導来圏の中のアーベル圏として、偏屈連接層の圏と呼ぶものを、Bridgelandの類似の3次元の多様体の場合の研究に基づき、研究分担者の吉岡とともに定義し、そのモジュライ空間の研究を行った。 1. モジュライ空間は例外曲線に対応する直線束の捻りで、壁越え現象を起こす。つまり、直線束でひねると、安定であった層が安定ではなくなり、モジュライ空間は双有理にはなるが、同型とはならない。 2. c_1が例外因子と直交するときは、モジュライ空間はブローアップする前の曲面上の安定層のモジュライ空間と一致する。 3. 直線束で十分に捻ると、ブローアップした曲面上の安定連接層のモジュライ空間と一致する。 4. モジュライ空間の仮想ホッジ数を与える公式を、壁越えをするごとにどのように変化するか、書き下すことができる。 5. モジュライ空間の上の交叉理論が、壁越えでどのように変わるかを、具体的に書き下すことができる。 この研究は、これまでに研究分担者の吉岡と行ってきたインスタントンの数え上げの研究を発展させるための基礎となるもので、特に爆発公式の精密化を与えることができる。
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