2007 Fiscal Year Annual Research Report
複素多様体の退化族における多重標準束と乗数イデアル層の研究
Project/Area Number |
19340014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 茂晴 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20284333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平地 健吾 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (60218790)
今野 宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20254138)
大沢 健夫 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (30115802)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
佐藤 栄一 九州大学, 大学院・数理科学研究院, 教授 (10112278)
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Keywords | 多重標準束 / 乗数イデアル層 / 退化族 |
Research Abstract |
滑らかな固ケーラー射f:X->YとX上の中野半正なエルミートベクトル束(E,h)に対して,高次順層R^qf_*K_{X/Y}(E)の正値性について研究した。主結果は次の定理である。 定理1.(1)上の状況で,R^qf_*K_{X/Y}(E)は局所自由層である。 (2)wをXのケーラー形式とする。このときwとhに関するR^qf_*K {X/Y}(E)のホッジ計量gを定義することができて,その曲率は中野半正である。 関連する結果が代数幾何において知られているが,それはGriffiths半正という正値性に対応していて,射f:X->Yが滑らかな場合には,定理1が本質的な部分で強い結果になっている。定理1は初めq=0の場合にBerndtssonにより得られたが,それとは独立に我々は少し弱い形の結果を得ていた。それを受けて,次に研究すべき課題が幾つか考えられた。定理1はその一つである。問題点の一つは正しいホッジ計量gの定義であった。各ファイバーX_y=f^{-1}(y)上でw_yとh_yに関するE_y係数の調和(n,q)形式を考え,それに関するpairingはR^qf_*K_{X/Y}(E)にエルミート計量を定める。これは一見自然な定義に思えるが,実はそうではなかった。竹腰の定理により,単射S:R^qf*K_{X/Y}(E)->f*Ω_{X/Y}^{n-q}(E)が存在する。一方でf*Ω_{X/Y}^{n-q}(E)にはまさしく自然なホッジ計量g'がある。それはH^0(X-y,Ω」X_y}^{n-q}(E_y))の元u,vに対して,w_y^{n-q}\wedge u \wedgeh_y \olvのX_y上の積分の定数倍で定まる。このg'を単射Sで引き戻したg=S^*g'が考えるべきホッジ計量である。さらに別の竹腰による結果を合わせることにより,先のBerndtssonによる曲率の計算を一般化することができ,定理1を証明した。この結果を海外研究協力者のMourougane氏との共著としてまとめた。一方で,R^of*Ω_{X/Y}^{n-q}(E)は局所自由性,およびg'の曲率を求めることはできていない。一般には,これらはR^of*K_{X/Y}(E)と異なり,定理1のようには決定できないと思われる。
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Research Products
(4 results)