2009 Fiscal Year Annual Research Report
複素多様体の退化族における多重標準束と乗数イデアル層の研究
Project/Area Number |
19340014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 茂晴 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20284333)
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Keywords | 幾何学 / 多重標準束 / 乗数イデアル層 / 退化族 |
Research Abstract |
Xを射影的複素多様体,LをX上の正則直線束でその小平-飯高次元が半正:k(L)≧0とする.今年度は,Lの部分多様体Vに沿った制限型体積vol(X|V,L)の振る舞いを研究した.特に漸近的乗数イデアル層J(X,||mL||)の情報も考慮に入れた被約型体積mu(V,L)との関係について詳しく研究した.これはLが巨大なときには,Ein-Lazarsfeldらの研究,および研究代表者の以前の研究により良く理解されていたもので,今回はそれをより一般の直線束に拡張した.主結果は以下のようになる. 定理.Lに付随した飯高ファイブレーションをf:X→Yとし,Vを一般の位置にあるXの部分多様体とする.(1)次の3つの性質は同値である.(1.1)写像f:V→f(V)はgenerically finiteである.(1.2)制限型体積vol(X|V,L)>0.(1.3)被約型体積mu(V,L)>0.(2)もしm→∞のとき,h^0(V,mL×J(X,||mL||)|_V)/m→0ならば,h^0(V,mL×J(X,||mL||)|_V)は有界である. (1)から,mu(V,L)>0というより弱い条件からk(L)≧dim Vが導かれることが分かる.また(2)のようなタイプの主張は中山昇氏の研究で初めて現れたもので,そこからアバンダンス予想の特別な場合が従うなどの応用がある.特にL=K_X(Xの標準束)とした場合が応用上重要であり,上述の結果を用いて,一般型とは限らないときの多重標準線形系の研究が進展する可能性がある.またvol(X|V,L)とmu(V,L)との食い違いについても詳しく研究した.この結果はG.Pacienza氏(ストラスブール大学)との共著としてまとめた.
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Research Products
(1 results)