2010 Fiscal Year Annual Research Report
複素多様体の退化族における多重標準束と乗数イデアル層の研究
Project/Area Number |
19340014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 茂晴 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20284333)
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Keywords | 幾何学 / 多重標準束 / 乗数イデアル層 / 退化族 |
Research Abstract |
複素多様体間の固有正則写像f:X→Yと,X上のf-豊富な正則直線束Eに対して,順像層R^{n-p}f_*(Ω_{X/Y}^pxE)やR^{n-p}f_*(Ω_X^{p+m}xE)がもつ基本的な性質を研究した.ここでdimY=m,dimX=n+mである.特にEが相対標準束K_{X/Y}と取れる場合が興味深く,例えば種数2以上のコンパクトリーマン面の変形族の理論や,小平-スペンサーの変形理論の枠組みともマッチし,他分野との関係など研究の広がりが期待される.得られた結果は以下の通りである. 定理.f:X→YおよびEは同上とする.pは0≦p≦nなる整数とし,(3)と(4)においてはfは滑らかと仮定する.このとき, (1)q>0ならばR^{n+q}f_*(Ω_X^{m-q}xE)=0である.(2)R^{n-p}f_*(Ω_X^{p+m}xE)は振れ元を持たない. (3)R^{n-p}f_*(Ω_X^{p+m}xE)は局所自由である.(4)次の自然な完全列が存在する.さらに二つ目の全射は分裂する. T-YxR^{n-p-1}£*(Ω_{X/Y}^{p+1}xE)→R^{n-p}f_*(Ω_{X/Y}^pxE)→R^{n-p}f-*(Ω_X^{p+m}xE)xK_Y^{-1}→0. ここで一つ目の写像は小平-スペンサー写像T_Y→R^1f_*T-{X/Y}を通してR^{n-p-1}f_*(Ω-{X/Y}^{p+1}xE)の元とのカップ積により誘導された連結準同型で,二つ目の写像は自然な包含Ω_{X/Y}^pxf^*K_Y→Ω_X^{p+m}から誘導された射である.このようにR^{n-p}f_*(Ω_{X/Y}^pxE)はR^{n-p}f_*(Ω_X^{p+m}xE)xK_Y^{-1}らと小平-スペンサー写像を用いて,pに関して帰納的に研究することができる.この結果を得るための鍵となった議論は,順像層R^{n-p}f_*(Ω_X^{p+m}xE)を,Yを局所化することにより,コホモロジー群H^{n-p}(X,Ω_X^{p+m}xE)と見たときに,その調和積分論が存在することを示し,その調和微分形式がもつ性質を詳細に調べることにあった.
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Research Products
(1 results)