2010 Fiscal Year Annual Research Report
擬正則写像、フレアーコホモロジーの研究とシンプレクティック幾何への応用
Project/Area Number |
19340017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 啓史 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50223839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 浩明 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (90211870)
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Keywords | シンプレクティック幾何 / フレアーコホモロジー / ラグランジュ部分多様体 / トーリック多様体 / ミラー対称性予想 / ポテンシャル関数 / ランダウ・ギンズブルグ模型 / フロベニウス構造 |
Research Abstract |
本研究課題の連携研究者でもある深谷賢治氏(京都大)、小野薫氏(北海道大)およびYong-Geun Oh氏(ウイスコンシン大)との共同研究により、トーリック多様体のミラー対称性予想について研究し次の成果を得ることができた。これはここ十数年かかって我々が構築したラグランジアン部分多様体に対するFloer理論の一般論のトーリック多様体の場合への応用例とみることができる。具体的には、任意のコンパクトトーリック多様体の大量子コホモロジー環と、正則円盤の分配関数としてラグランジアン部分多様体のFloer理論において我々が以前の研究で導入した(バルク変形された)ポテンシャル関数のヤコビ環との環同型を証明した。証明は両者の計算結果を照合して同型であることを確認するものではなく、幾何学的に同型写像を明示的に構成し、内在的かつ概念的に行なわれる。更にこの同型写像は、ポテンシャル関数で定まる特異点の普遍開折を与え、トーリック多様体のボアンカレ対から定まる内積とヤコビ環上の留数対との一致を導く。これをポテンシャル関数の特異点が非退化な場合に証明した。証明は、正則穴あき円盤(annuli)のモジュライ空間の解析による。以上の結果を231ページの論文にまとめ,アーカイブ(arXiv:1009.1648)で公開した。他に、ラグランジアン部分多様体にアンカーという概念を定義し、そのFloer理論を展開した論文を出版した。これはスペクトル不変量との関係を研究する際必要となるものである。
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