Research Abstract |
本研究の第一の目的は、超準解析の論理的基礎付けである. これまで集合論をベースに行われていた超準的方法を, 2階算術の弱い体系, とくにWKLoと呼ばれる公理系において展開する技法を数年前に研究代表者が考案し, その改良を続けている. 本年度においては, 研究代表者の元学生横山啓太と現学生堀畑佳宏が, この方法でいくつかの重要な結果を導き, 国際会議で発表した. また, 研究代表者は, 現代集合論の重要概念である無限ゲームの決定性に対して, 2階算術の上で必要な集合存在公理を特定する研究を行い, これに関する成果をアジア論理学会議の招待講演で発表した. また, その方面における研究で, 指導学生の根元多佳子が青葉理学振興会黒田チカ賞を受賞した. 第3の研究テーマはランダム性の計算論的研究であるが, これは二つに分かれ, 一つはアルゴリズムにおけるランダム性の役割の研究で, もう一つはランダム性のアルゴリズム的定義についての研究である. 本年度においては, 特に後者に対して, 劉晨光と山崎武と代表者の共同研究で, 部分ランダム性(ε-ランダム性)についての系統的な分析を進めた. また, 劉晨光と代表者は, 生産管理のセル生産システムにおいて生じるセル形成問題に対する実際的有効解の求め方について考察した. 最後に, 本研究では, 他の研究プログラムとも協力して, 2つの国際ワークショップ(東北大2009年2月Carl Mummert (Michigan)他の参加, 松島3月Steve Awodey (Carnegie Mellon)他の参加)を開催した.
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