2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340039
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 健司 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (40268115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 克則 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00176538)
白井 朋之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (70302932)
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Keywords | パンルヴェ系 / 超幾何函数 / 行列式点過程 / τ関数 / 複素力学系 / 離散微分幾何 / ランダム行列 / 射影簡約 |
Research Abstract |
本年度は以下の成果を得た (1) 離散パンルヴェ系の射影簡約の研究:離散パンルヴェ系で「対称化」と呼ばれていた特殊化の手続を一般化して射影簡約の概念を提唱し,簡約の代数的・幾何学的意味を示した.特に(A_2+A_1)^<(1)>型のパンルヴェ系を取り上げて超幾何解の退化の様子をτ函数のレベルで詳細に追跡し,解の行列式構造の非対称性と簡約による超幾何函数の差異の理由を明らかにした.これによって,離散パンルヴェ方程式の研究開始以来の謎が理論的に解明されたことになる.(2)パンルヴェ系の離散微分幾何への展開:離散微分幾何の基礎方程式の一つであるdiscrete Schwarzian KdV方程式のτ函数と双線形構造を考察した.ソリトン系としては離散2次元戸田格子階層からある簡約で得られること,またパンルヴェ系のτ函数による特殊解の明示公式を構成し,パンルヴェ系との直接的な関係を確立した.この結果は直ちに離散冪函数の超幾何τ函数による明示公式に応用可能である.(3)行列式点過程の研究:コーシー核のウィナー積分が定義する上半平面内の零点過程が行列式点過程になることを示した.これは,2003年のPeres-Viragによる双曲ガウス型解析関数の零点が単位円板内の行列式点過程になるという結果の上半平面版である.また,その零点過程への極限定理についても考察した.(4)パンルヴェ方程式の複素力学系的側面の研究:パンルヴェVI型方程式に付髄する有理曲面上のエントロピー正の離散力学系を考察し,孤立周期解の個数の具体的な計算を行い,またマルコフ・パンルヴェ超越函数の概念を通じて数論的な対象への展開を行った
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Research Products
(17 results)