2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
綿谷 安男 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (00175077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸崎 秀樹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20186612)
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Keywords | 作用素環 / 複素力学系 / C*-環 / 有理関数 / 極大可換環 / トレース |
Research Abstract |
有理関数Rのリーマン球面上の反復構成R^nを複素力学系ととらえ、それからCuntz-Pimsner構成をして作ったC*-環ともとの複素力学系との関連を研究してきた。またローマン球面をRのJulia集合J_RやFatou集合に制限して作った力学系からも同様にしてC*-環を構成した。特にJulia集合上で考えたものはそのカオス的な性格が反映して対応するC*-環は純無限な単純C*-環になった。そこで今年度はその状況下でゲージ作用による不動点環を考察し、それが単純になるための必要十分条件はJulia集合が分岐点を含まないことであることが分かった。また前年度の研究で係数環C(J_R)がその中で極大可換環になっていることもわかっていた。そこで今年度は複素力学系の軌道同値と構成したC*-環の同型の間の関係を主に研究した。しかしながら測度空間やカントール集合の場合と違い、連結な空間序の力学系の軌道同値の好ましい定義を導入することすら難しいことがわかった。構成したC*-環やそのK-群との関連も期待して研究したがその壁は厚く、ほとんどなにも得られなかった。この方向については、継続してさらに研究したいと思っている。記号力学系の場合には、ゲージ作用による不動点環のK群は次元群と呼ばれ、記号力学系の計算可能な重要な不変量となっている。そこで複素力学系の場合にもゲージ作用による不動点環のK群が複素力学系の重要な不変量になっているのではないかと考え、その計算にかなりの時間を費やしたが、一般的な式を得るまでには至らなかった。さらにゲージ作用の双対作用が導くK群上の作用も込みにして、引き続き研究するつもりである。
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