2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速分光システムでとらえるブラックホール粒子加速の現場
Project/Area Number |
19340044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70229780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 大作 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20332728)
川端 弘治 広島大学, 宇宙科学センター, 助教 (60372702)
植村 誠 広島大学, 宇宙科学センター, 助教 (50403514)
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Keywords | ブラックホール / 磁場 / 粒子加速 / シンクトロン放射 / 可視光天文学 / CCD / 理論天文学 / 赤外線天文学 |
Research Abstract |
ブラックホールなどの高密度天体連星系からの放射は激しい時間変動を示す。しかし、その起源は今もって不明である。本研究課題は、連星系からの非熱的電子起源の可視光を0.1秒以下の時間分解能で分光観測することにより、急激なスペクトル硬化、すなわち粒子加速の証拠を見出し、その時間変動の起源を明らかにしようとするものである。最終年度である今年度は観測装置および理論シミュレーションの双方につき、以下の成果を得た。 (1)高速分光器は20年6月に完成、21年8月に広島大学1.5mかなた望遠鏡にとりつけた。それを用いて恒星フレアおよび新星爆発の観測を行った。結果は現在解析中である。また、測光観測モードを用いて平成21年9月及び22年1月に矮新星V455 Andの高速測光観測を行った。平成19年の爆発から2年近くが経ち、周期67.3秒の白色矮星の自転と、周期300秒程度の白色矮星の脈動が観測された。爆発時に加熱されて不安定帯を抜け脈動を起こさなくなった白色矮星が、この間に冷えて再び脈動を起こすようになったことを示している。 (2)理論面では、前年度に開始した大局的放射磁気流体シミュレーションを継続しデータ解析を進めた。その結果、どの場合にも、磁場がぎりぎり巻きになって磁気タワーを形成しガスをジェットの形で噴出すること、および放射エネルギーがはるかに卓越する場合にも、ジェットの収束機構としては磁場のローレンツカが支配的で、これは放射エネルギー分布の非等方性、すなわち、円盤面方向には放射エネルギー分布がフラットで放射圧が抑えられていることが原因であることをつきとめた。
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