2008 Fiscal Year Annual Research Report
赤外域の線スペクトルを用いた太陽外層大気の磁場診断
Project/Area Number |
19340048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一本 潔 Kyoto University, 理学研究科, 教授 (70193456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北井 礼三郎 京都大学, 理学研究科, 準教授 (40169850)
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Keywords | 太陽物理学 / 赤外線 / 天体分光 / 偏光観測 / 磁場 |
Research Abstract |
平成20年度は前年度に購入した赤外線カメラの特性評価をおこなった。また本カメラを乗鞍コロナ観測所の25cmコロナグラフ、および京都大学飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡に設置し、赤外コロナ輝線と彩層スペクトル線の偏光観測を実施した。カメラの特性評価では、熱雑音と読み出しノイズが想定されたレベルであり、当初目論んでいた精度での赤外測光観測が可能であることを確認したが、カメラの応答出力に無視できない非線形性があることもわかった。これはデータの処理において補正する。乗鞍コロナ観測所では、2つのコロナ輝線(13階電離鉄10747Aと10798A)のスペクトルを同時に観測するための光学系を製作し、本赤外カメラで良好に撮像できることを確認した。しかし太陽の活動性が予想外に低く、明るいコロナ領域が全く存在しなかったため、コロナ輝線の偏光検出には至っていない。飛騨天文台においては既設のドームレス太陽望遠鏡や偏光解析装置と組み合わせて、彩層起源のヘリウム10830A線の偏光観測を行い、これまでのCCDカメラと比較して一桁以上高い磁場の検出限界を実現できることを確認した。同時に偏光解析装置との時間的同期や望遠鏡の光学系による人為的偏光の補正など、観測システムの課題も明確になった。以上、赤外偏光観測の準備はほぼ整えることができたが、本研究の目標である太陽外層大気の磁場診断は、太陽活動の出現をみて今後速やかに実施する予定である。
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Research Products
(2 results)