2008 Fiscal Year Annual Research Report
コズミックバリアンスを超克した次世代精細宇宙論の研究
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19340054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 順一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (50212303)
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Keywords | 宇宙背景放射 / 温度揺らぎ / 偏光 / 初期密度揺らぎ / 重力波 / 初期宇宙 / 尤度関数 |
Research Abstract |
今年度はまず最大尤度反転法によって、宇宙背景放射の温度揺らぎの非等方性のデータから初期曲率揺らぎを再構築した。そして、昨年度に開発した統計的に独立なバンドパワーを求める方法をこれに適用し、初期曲率揺らぎの単純なべき乗則からのズレを定量化した。その結果、700Mpc付近に3.3σのズレを確認した。また、この方法とCosmic Inversion法を比較検討し、この方法が選りすぐれていることを見出した。 WMAP5年目データに基づいて微細構造定数の時間変化がどの程度許されるかを計算し、従来よりやや強い制限を得た。 宇宙初期に生成した重力波の長波長成分は宇宙背景放射の B モード偏光として将来観測可能であるが、短波長成分はスペース重力波干渉計によって観測されることが期待されている。この双方が観測できた場合、宇宙の熱史に有用な情報が得られること、特にビッグバンの最高温度を観測的に決定できる可能性があることを明らかにした。 インフレーションの素粒子模型として、標準理論のヒッグス機構が働かない場合、どのような可能性があるか検討し、重力定数がスカラー場の期待値として与えられる模型に於いてうまくいく実例を与えた。 バリオン物質の起源に関する研究として、超対称性理論のスカラーポテンシャルの平坦方向が複数共存する場合を考察し、正しい物質量が得られる条件を求めた。
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