Research Abstract |
このBell実験から出される二光子過程断面積の統計は,Belle実験以前の数百倍から数千倍に及び,従来の解析とは全く質の異なる詳細な解析を可能にしている。しかも,Bファクトリー実験のライバルBaBar実験からこのようなデータは出されないため,Belie実験は世界唯一の高統計データを提供し,注目を集めている。 今年度はまず,研究協力者のM.Pennington教授と,論文として発表したばかりのγγ→π^0π^0の結果を用いて振幅解析を行い,ほぼユニークな解を得た。その解析では,f-0(980)中間子の2光子幅が以前の値の2-3倍となり,f_0(980)中間子の構造についてこれまでの知見をくつがえす興味深い値を得た。しかしながらM.Pennington教授が超多忙なため,論文としてまとまるのは次年度の半ばごろになる見込みである。 それと並行して,γγ→π^0π^0のさらに高統計のデータ(223fb^<-1>)の解析をまとめ,論文として発表した。さらに,同じく223fb^<-1>のπ0ηの微分断面積を求め,a_0(980)中間子の共鳴パラメータを初めて信頼度高く決めたほか,より高エネルギー領域での断面積の振る舞いについて調べ,π^0π^0と同様な振る舞いをすることを確認し,論文にまとめた。数ケ月のうちに出版される予定である。 これらの解析の結果は,昨年度の予算で購入した専用の計算機システムに,今年度はデータ記録装置(磁気テープ装置)を付けて,計算機システムをフルに稼働することによって得られた。 次の目標はηη生成反応であり,すでにプレリミナリな微分断面積が得られていて,その解析を行う予定である。
|