2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ重力レンズ効果を利用した暗天体と太陽系外小型惑星の探索
Project/Area Number |
19340058
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
村木 綏 甲南大学, 理工学部, 教授 (70013430)
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Keywords | 一般相対性理論 / 重力レンズ法 / 暗天体 / 系外惑星 / 大マゼラン雲 / ミラ型変光星 / セファイド型変光星 |
Research Abstract |
天文学では自ら光を放出しない天体は太陽系惑星を除き検出が不可能であった。一般相対性理論によれば、質量を有する天体の周辺を通過する光線は直進せず曲がる。光線の屈曲は、空間がレンズの役割を果たすことに対応する。この空間の"重力レンズ"を利用して暗黒天体(暗天体)を検出する観測法が1986年に提案された。遠方の天体を大量に観測し、その星の中から"重力レンズ"で増光する天体を探し出し、その手前にある暗黒天体の存在を知る方法が提案された。この重力レンズを用いて暗天体を検出する試みが1990年ころから開始された。 日本とニュージーランドの共同研究グループMOAは、重力レンズ効果の研究に特化して日本の科学研究特別推進費でNZに作られた1.8m望遠鏡を駆使して、本科研費を利用して、2006年度から銀河中心方向と大・小マゼラン星雲の本格的なsurvey観測を実施してきた。その結果ドップラー法で発見できなかったような、主星から遠く離れたところに存在する系外惑星を11個見つけた。ドップラー法による観測結果は、太陽系外惑星の分布が主星のごく近くを回る灼熱の木星が大半を占め、我々の太陽系のような惑星分布をした惑星系は稀であることを語っている。しかしながら今回重力レンズ法による観測で、主星から遠く離れたところに存在する冷たい海王星のような小型惑星を伴った惑星系がかなり存在していることがわかった。これはこれまでの観測結果を覆す結果である。しかしながら重力レンズ法による観測法では、見つかる系外惑星の数が年間2~4個と限られており、さらなる大量測光観測が必要であることも確かである。 なお甲南大学のグループは、1999年から2005年に大マゼラン雲の観測で得られたMOA Iデータのデータベースを作成し、その中にミラ型変光星を9,000個、セファイド型変光星を13,000個見つけた。これらの結果は学会や論文で発表する予定である。またMOAグループはNatureやScience誌に、それぞれ重要発見を現在投稿中である。今年度は査読付き論文11編、4年間で査読付き論文20篇を公表した。
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