2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340066
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
北澤 良久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10195258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 暁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20242092)
西村 淳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90273218)
|
Keywords | 行列模型 / ゲージ/重力対応 / ホーキング輻射 / 量子アノマリー / de Sitter時空 / 粒子生成 / ボルツマン方程式 |
Research Abstract |
超弦理論の非摂動論的定式化を目指す行列模型の基礎的な検証の一貫として、2次元非可換背景場中で超弦自由度を同定し、頂点演算子を構成し超弦理論の摂動論を再現した。 ブラックホール地平面近傍では、時空の因果的な性質により古典的には、エネルギー運動量テンソルが一方方向の流れしかもたない。この性質は外部の観測者にとっては熱散逸として理解される。これを表す有効理論がメンブレンパラダイムである。この系を量子化すると、この流れとは逆方向のホーキング輻射が発生し、量子的な熱揺らぎとしてメンブレン作用に対する補正を与える。この熱揺らぎを取り入れた確率微分方程式(ランジュバン方程式)を導出し、古典的な入射波境界条件がどう変更されるかを議論した。またこの方程式に「揺らぎの定理」を適用することで、ブラックホールエントロピーの増大則を導いた。 西村は本科研費で雇用した青山龍美氏と共同研究を行い、ガウス展開法による行列模型の計算を行った。その結果、6次元の模型から3次元の時空が力学的に生成することを示唆する結果を得られた。また、このような現象を数値シミュレーションにより明らかにする方法を考案し、簡単化した模型を用いてテストを行った。 10次元ブラックホールと双対な超対称行列模型の研究において、ホーキングが予言したエントロピーの面積則などのゲージ/重力対応を検証する大きな成果を得た。 ブラックホールからのホーキング輻射をホライズンでの量子アノマリーを通して普遍的に理解することに成功した。またde Sitter時空における粒子生成の問題をボルツマン方程式を用いて研究し、ユニタリティーと整合する描像を得た。 このように、本研究は大きな成果をあげてきたが、特筆すべきこととして、非平衡系物理等、この研究を通してさらに幅広い分野の研究とつながりを持つに至ったことが挙げられる。
|
Research Products
(6 results)