2007 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核電荷分布測定のためのSCRITを用いた電子散乱実験
Project/Area Number |
19340073
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若杉 昌徳 The Institute of Physical and Chemical Research, RI・電子散乱装置開発チーム, 先任研究員 (70250107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 和好 立教大学, 理学部・物理学科, 助教授 (90234559)
野田 章 京都大学, 化学研究所・先端ビームナノ科学センター, 教授 (20114605)
白井 敏之 京都大学, 化学研究所・先端ビームナノ科学センター, 助手 (50252507)
頓宮 拓 京都大学, 化学研究所・先端ビームナノ科学センター, 技術職員 (10397523)
玉江 忠明 東北大学, 原子核理学研究所, 准教授 (10124174)
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Keywords | 電子散乱 / イオントラッピング |
Research Abstract |
不安定核の電子散乱を実現するための新しい標的(SCRIT)の開発を、京都大学化学研究所の電子蓄積リング(KSR)を用いて行ってきた。今年度は既にKSRに装備しているSCRITプロトタイプの改良と反跳核検出器の追加を行い、4月と12月に実験を行った。SCRIT中に4月には約7×10^6個、12月には約4×10^7個のCsイオンを蓄積することに成功し、これを約0.1秒間維持することができた。Csイオンをトラップしている間、トラップしたCsイオンからの弾性散乱電子を観測し、その角度分布(30°、40°、60°)の測定に成功した。また、電子散乱に伴って発生する反跳Csイオンの同時検出にも成功し散乱運動学決定に高い信頼性が実現できることを示した。電子の標的Csイオンとの衝突ルミノシィティーは電子ビーム電流で75mAの場合に10^<26>/(cm^2s)に達した。イオンの蓄積,蓄積寿命等が電子ビーム電流量に対してどのように変化するかを詳細に調べた。その実験の結果は蓄積電子ビーム電流が数百mAになれば、弾性散乱実験に必要なルミノシティー10^<27>/(cm^2s)を楽に達成できることを示した。この結果によってSCRITの原理とSCRITを用いて電子散乱実験が可能であることを実証した。この成功は、不安定核の電子散乱というこれまで衝突型加速器を用いなければ不可能と考えられてきた実験が、小さな電子蓄積リングを用いてより簡単にまた安価に実現できるという道を開いた。
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Research Products
(2 results)