2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 太一 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (80313120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 明人 東京大学, 物性研究所, 教授 (60106747)
松田 巌 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00343103)
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Keywords | スピン分解光電子分光 / 低速電子線回折 / シャーマン関数 / フィギュアオブメリット |
Research Abstract |
平成19年度は,低速電子線回折を用いたスピシ偏極光電子測定に必要な,電子散乱チャンバーの設計および建設と測定の制御系の整備を行った。当初予定通り第一年度では装置の性能の実証と評価を行うことを主な目的としたため,装置構成はなるべく簡単なものとした。具体的には電子散乱槽(含むミューメタルシールド),電子輸送レンズ(ディフレクターなし),電子検出器(チャンネルトロン3個),散乱用,ターゲットからなるスピン検出装置を開発し測定用の制御電源などを整備した。装置の建設と平行して,電子を散乱させるためのFe(001)単結晶薄膜ターゲットの作成技術をまず確立した。続いて装置の立ち上げ作業に入り,まず電子レンズの性能評価を行い,設計通りの性能を示すことを確認した。さらにレンズからターゲットに電子を導き,ターゲシトでの散乱電子を検出器で効率よく検出できることを確認した。続いて,Fe(001)単結晶薄膜を試料として光電子測定を行い,ターゲットにもFe(001)(1x1)-Oを用いてスピン編極度の検出を試みた。その結果,ターゲットの磁化方向をプラスとマイナスに変化させた際にスペクトルに明確にアシンメトリーが表れることを確認し,スピン分解光電子分光実験を本装置で実現できることを確認した。その測定効率は,スピン検出能力関数(シャーマン関数)の値が約29%,全効率(Figure of merit・FOM)が1x10^-2となり,これまでに報告されているMott型のスピン検出器の100倍近い高効率でスピン検出が可能であることを確認した。従って予定通り本装置でのスピン検出能力を実証し,かつ期待した高効率ができることを確認することができた。
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Research Products
(4 results)