2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 太一 Hiroshima University, 放射光科学研究センター, 准教授 (80313120)
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Keywords | スピン分解光電子分光 / 高効率 / 3次元スピン解析 / 表面磁性 / スピントロニクス |
Research Abstract |
平成20年度までに高効率スピン検出器を完成し、性能評価を行い従来の装置に比べ100倍近い高効率が達成できることを確認した.20年度には当初の予定であったスピンの三次元解析のための装置設計を行った。21年度に3次元化を完成する予定であったが、装置の設計を見直す必要があることが分かったため引き続き装置の設計変更を行った。そのため装置の作成が当初計画よりも若干遅れたのと予定よりも予算が必要となったため物品の一部のみを購入した。 その一方で、装置の安定性を高める努力を行い、安定して高性能のターゲットを作成する技術がほぼ確立できた。現在ではスピン分解能30%以上のターゲットを安定して作成可能となり、またその寿命も数ヶ月以上を実現し、装置の定常的な利用が可能となった.その結果21年度にはこの装置を利用して多くの実験成果を上げることができた.例えば大きな表面ラシュバスピン分裂を生じることが知られるBi/Ag表面合金において基板のAgを薄膜にしたときに生じるスピン縮退した量子井戸状態にスピン偏極した表面準位が新たなスピン偏極を創成することなどを観測した。また、これまで論争になっていたSi微斜面上にAuを蒸着した際に現れる奇妙な表面準位がスピン分裂していることを突き止め、その起源を解明するなどした。さらにサンプルを回転させることで擬似的なスピン方位の3次元解析を行い、このAuの電子スピンが面直方向に立っている特殊な状態であることなどを突き止め、学会や学術誌で発表を行った。このように本研究で完成した新型の高効率スピン検出器は、非常に高性能で今後の表面磁性研究やスピントロニクスの発展に多いに寄与することが見込まれる成果を得ることができた.
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Research Products
(16 results)