2007 Fiscal Year Annual Research Report
5f電子系における弱い磁性の起源および隠れた秩序・超伝導との相関
Project/Area Number |
19340086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
網塚 浩 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (40212576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 健一 信州大学, 教育学部, 准教授 (70261279)
横山 淳 茨城大学, 理学部, 准教授 (70361285)
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Keywords | 重い電子系 / 隠れた秩序 / 異方的超伝導 / 高次多極子 / 反強磁性 / ウラン化合物 / アクチナイド / 5f電子系 |
Research Abstract |
本研究では、URu_2Si_2の高圧下における相図の解明および隠れた秩序変数と超伝導状態の解明、また関連物質における弱い磁性状態と低温物性との関係の解明を目的とする。今年度の主な成果は以下の通りである。1.歪みの少ない良質のURu_2Si_2単結晶を用い、高圧下における交流磁化率および中性子弾性散乱実験をさらに進めた。特に複数の圧力媒体を用いることで静水圧性による物性への影響を評価した。実験の結果、静水圧性の向上に伴い隠れた秩序から反強磁性秩序への転移圧力が下がるとともに転移に伴う異常が鋭くなること、また圧力媒体に依らず転移圧で超伝導相が反強磁性相と入れ替わることを明らかにした。これにより超伝導は当初考えられていた様に反強磁性と共存して起こるのでは無く、競合していることが明確となった。この系の超伝導の相関長と臨界磁場を考慮すると、反強磁性秩序による内場によって超伝導が抑制されるとは考え難いため、観測結果はクーパー対を媒介する引力相互作用が隠れた秩序状態にのみ存在し、反強磁性相では消失していることを示唆する。2.希薄磁性化合物La_1-xR_xRu_2Si_2(R=希土類元素)の単結晶を作成し、Rを系統的に変化させて磁化および電子比熱を測定することにより、この結晶系における結晶場の基礎情報を得ることを試みた。その結果、基底J多重項のみを考慮する従来の結晶場モデルでは磁気異方性を定量的に説明できないことを明らかにした。3.U(Ru_1-xRh_x)_2Si_2(x〓0.02)について高エネルギー分解能非弾性中性子散乱実験を実施し、x=0.015において隠れた秩序相特有の磁気励起ギャップが消失することを観測した。
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Research Products
(30 results)