2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム分光の相補利用による強相関電子系の低エネルギー電荷応答の研究
Project/Area Number |
19340090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 和芳 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (70133923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
藤田 全基 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20303894)
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
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Keywords | 中性子ビーム / 強相関電子系 / 磁性 / 中性子散乱 / 放射光 |
Research Abstract |
1) 平成19年度に中性子散乱で行った銅酸化物へのNi置換効果の相補研究として、x線による吸収端近傍微細構造(EXAFS)解析を行い、キャリヤードープによって誘起されるNi周りの特異な状態を明らかにした。EXAFSの結果から、キャリヤーはNiに強く束縛されることを反映してNiの周りの局所構造がCuの周りの構造と似ていることが明らかになった。このことは中性子散乱から予想されていた、実効的なNiのスピン状態が周りのCuめスピン状態と同じS=1/2になっていることと整合している。この結果は、高温超伝導体における金属不純物の効果をミクロな立場から考察するための重要な指針となった。この研究はその後、Ni周りの電子状態を直接的に観測する共鳴型x線非弾性散乱研究を誘発した。 2) 銅酸化物で、周りのCuスピンより大きなスピンを持つFeの不純物効果(スピン注入効果)を中性子散乱により調べた。その結果、スピン注入は、周りのCuスピン秩序を大きく誘起するだけでなく、電荷秩序の揺らぎを押さえて秩序化を促進させることがわかった。このことのミクロな起源を調べるべく、相補研究として角度分解光電子分光の研究がその後スタートし、超伝導が押さえられている電荷秩序系でも、超伝導に見られるのと類似した擬ギャップを発見し、これらの研究を次年度に向けてさらに展開させる下地ができた。 3) 高輝度高エネルギー用のモノクロメーターについては、Cu単結晶の質をさらに高める育成法がほぼ確立した。日本で初めての本格型モノクロメーターを2台製作するための単結晶の量産と単結晶のカッティングが継続している。
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