2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム分光の相補利用による強相関電子系の低エネルギー電荷応答の研究
Project/Area Number |
19340090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 和芳 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (70133923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 研司 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60241569)
藤田 全基 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20303894)
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
水木 純一郎 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 副部門長 (90354977)
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Keywords | 中件子ビーム / 強相関電子系 / 磁性 / 中件子散乱 / X線非弾性散乱 |
Research Abstract |
物質の機能性発現に深く関わる電子の振る舞いを観るX線非弾性散乱や光電子分光の手法と、それらの電子が示す磁気的揺らぎを観る中性子非弾性散乱を同一物質に適用し、機能性発現機構を包括的に研究するのが本研究の目的である。 平成21年度は、「銅酸化物超伝導体の置換効果の中性子散乱と共鳴X線非弾性散乱(RIXS)、およびX線共鳴吸収端近傍微細構造(EXAFS)による研究」が主な成果としてあげられる。銅酸化物超伝導体の銅元素の一部をニッケルで置換することで、超伝導性や磁性が大きな影響を受ける。この置換効果をいくつかの相補的な手段で研究することで、詳細な知見が得られ、銅酸化物超伝導で最も重要な課題である、超伝導と磁性の相関に関してする理解が深まる。中性子散乱では、ニッケル置換による磁気構造や磁気相関を研究し、EXAFSではニッケル近傍に捕獲された電子が引き起こす局所構造、そしてRIXSでは不純物近傍での電子状態を観測することができた。中性子の結果については20年度に報告したが、21年度では、EXAFSの結果も合わせた形で論文を発表し、銅酸化物超伝導体の中の電荷の2面性を初めて議論した。 RIXS実験ではCuO_2面の電荷移動ギャップを越える励起に対応したものが観測された。この結果の解釈には理論との共同研究が行われた。一つのモデルとして3つの金属サイトを持つCu(N)_3O_<10>クラスターに対して2つのe_g軌道と酸素2P_x、2p_y軌道を考慮して、数値厳密対角化により計算されたスペクトルは定性的にRIXS実験の特徴が再現できていることがわかった。
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