2007 Fiscal Year Annual Research Report
FETおよびメゾスコピック構造による超薄膜グラファイトの電子物性の研究
Project/Area Number |
19340095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (00192526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴻池 貴子 東京大学, 物性研究所, 助教 (70447316)
内田 和人 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (20422438)
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Keywords | グラファイト / 超薄膜グラファイト / メゾスコピック系 / 電界効果トランジスタ / パルス磁場 / 磁場誘起電子相転移 / 層間磁気抵抗 / グラフェン |
Research Abstract |
(1)超薄膜/単層グラファイト素子作製技術の確立 グラファイト超薄膜の層数評価のために走査プローブ顕微鏡を導入し,劈開法と電子線リソグラフィーによる少数層/単層グラファイトFET素子の作製を試みた。フェルミ準位制御の可能な超薄膜バルクグラファイト素子の作製には成功したが,単層や2層グラフェン素子の作製には至っておらず次年度の課題となっている。 (2)小型パルス磁場システムの整備とグラファイトの磁場誘起電子相転移 既存の8kJ小型パルス電源の容量を20kJに増強し,適合するCuAg線小型パルス磁石を製作して50Tパルロ強磁場システムを整備した。グラファイトの磁場誘起電子相転移のフェルミ準位依存性を調べる目的で超薄膜FET素子の強磁場磁気抵抗の測定を試みているが,系統的実験には至っておらず次年度の課題となっている。 (3)多層ディラック電子系としてのグラファイトの層間磁気抵抗 適切な端面処理を施したグラファイトのバルク単結晶について層間磁気抵抗の測定を行ったところ,顕著な負性磁気抵抗を発見した。グラファイトは近似的に単層グラフェン(2次元ディラック電子系)が積層した層間結合の強い多層系と考えることができる。層間結合の弱いもう一つの多層ディラック電子系である有機導体α-(BEDT-TTF)2I3も負性磁気抵抗を示すが,この系の磁場中層間伝導をディラック電子系特有のゼロモードラダウ準位間のトンネル伝導として考えるモデルを構築し,この物質の負性磁気抵抗を説明した。さらにこのモデルを層間結合が強い系に拡張することにより,グラファイトの負性層間磁気抵抗を定性的に説明することに成功した。この結果はバルク結晶の物性にディラック電子系の特徴が反映された顕著な例であると言える。
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Research Products
(1 results)