2008 Fiscal Year Annual Research Report
FETおよびメゾスコピック構造による超薄膜グラファイトの電子物性の研究
Project/Area Number |
19340095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (00192526)
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Keywords | グラファイト / 電界効果トランジスタ / メゾスコピック系 / グラフェン / ディラックフェルミオン / 負の層間磁気抵抗 / ゼロギヤップ伝導体 / ランダウ準位 |
Research Abstract |
申請段階で計画した研究内容は以下の4課題である。 (1)多層グラファイトの磁場誘起電子相転移のFermi凖位依存性 (2)単層グラフェンの異常量子Hall効果状態における端状態 (3)グラフェン微細構造におけるメゾスコピックDirac電子系の伝導現象 (4)多層グラファイトの負性層間磁気抵抗 本研究の過程で発見した(4)について、観測されたShubnikov-de Haas振動と共存する負性層間磁気抵抗の起源を調べるために、現実的なグラファイトのLandauサブバンド分散から層間伝導度を評価した。その結果、H点付近に正孔ポケットを与える正孔バンドは、K点付近に電子ポケットを与える電子バンドとは別の電子バンドとH点付近の一点で準位交差するため、3次元Diracフェルミオン的な性格を持つことを指摘した。この事実から、電子系のShubnikov-de Haas振動と共存して負性磁気抵抗が現れることを説明した。本研究はバルクグラブァイトのDirac系としての新たな側面に光を当てた意義を持つ。 課題(2)と(3)に関しては、単層グラファイト(グラフェン)FET素子作製の確立が研究の成否を決める。光学顕微鏡システムの改善によりSiO2/Si基板上のグラフェン結晶片の識別を可能にすると共に、顕微ラマン分光による膜厚確認を行い、グラフェン特有のDirac電子的なShubnikov-de Haas振動を示す素子の作製に成功した。こうして課題(2)と(3)の基礎は確立したが、微細加工を必要とする本格的な実験については今後の課題となった。
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Research Products
(4 results)