2008 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡高時間分解能測定による超伝導渦糸ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19340096
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 信彦 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (50126140)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 超伝導量子渦糸 / 超薄膜 / 低温物性 / 渦糸ガラス / 渦糸物質 |
Research Abstract |
極低温下、高磁場ではたらく極低温走査トンネル顕微鏡を用いて、第2種超伝導体YNi_2B_2C、Bi_2Sr_2CaCu_2O_xの量子渦糸の運動を実時間・実空間測定を行った。YNi_2B_2Cにおいては、1T以上の磁場で渦糸格子に転位が発生することをはじめて見つけた。2Tの磁場では渦糸数に対する転位の密度はほぼ一定となる。数100個の渦糸格子をSTM法により、1枚5秒で画像を取ることに成功、連続STM画像を取ることにより、4T、0.45Kで渦糸格子の運動を実空間で可視化することに成功した。この高磁場下の渦糸運動の実空間測定は世界で始めてのことである。転位のすべり線で囲まれる、約100個弱の渦糸が「渦糸束」を形成、転位におけるすべりを利用して、渦糸の運動が起こるという新しい渦糸運動の描像を作ることができた。約1T以上の磁場で急激にピニング力が小さくなることが、バルク磁化測定でわかっているが、その理由が、渦糸格子の転位によると決論づけることができた。この内容は、論文として発表の準備中である。Bi_2Sr2CaCu_2O_xにおいては、4.2K、零磁場冷却後、磁場を7Tまでかけた渦糸非平衡状態で、熱平衡状態へ向けての渦糸運動を可視化することができたが、その様子は解析中である。 渦糸の運動をミリ秒の時間スケイルで追跡する「渦糸トラッキング法」を、試みたがまだ成功にはいたっていない、研究継続中である。また、自作の走査トンネル分光顕微鏡を希釈冷却機の混合室内に装着した、希釈冷却機STM/STSは、リークの問題があり進行が遅れたが、現在、0.16Kで稼動する冷却テストを終了し、0.1K温度領域の渦糸STM実験が進行中である。
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Research Products
(3 results)