2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミュオンスピン回転緩和法による層状コバルト酸化物の全領域電子・磁気状態図の解明
Project/Area Number |
19340107
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
杉山 純 Toyota Central R&D Lab., Inc., 材料分野・福嶋特別研究室, 主席研究員 (40374087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向 和彦 株式会社豊田中央研究所, 材料分野・福嶋特別研究室, 研究員 (50394812)
野崎 洋 株式会社豊田中央研究所, 研究基盤分野・分析・計測部・ナノ解析研究室, 研究員 (90394890)
池戸 豊 株式会社豊田中央研究所, 材料分野・福嶋特別研究室, 客員研究員 (90415050)
原田 雅史 株式会社豊田中央研究所, 材料分野・福嶋特別研究室, 研究員 (60394839)
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Keywords | ミュオンスピン回転・緩和 / 層状構造コバルト酸化物 / 2次元3角格子 / 幾何学的競合 / 熱電材料 / 超伝導材料 / リチウム電池材 |
Research Abstract |
コバルトイオンが2次元3角格子を形成するCoO_2面とアルカリイオン面が、交互に積層する一連の層状コバルト酸化物では、「Co0_2面の構造的な安定性」と「電子間の強い相関」および「3角格子特有の幾何学的な競合(3頂点のスピンを同時に反強磁性整列させられない)」のために、CoO_2面のキャリア濃度(平均価数)の変化に伴い超伝導を含む多様な巨視的現象が発現する。これらを統一的に理解するために、Coの平均価数が34から40の範囲の普遍的状態図を、ミュオンスピン回転緩和(μSR)法により決定することが本研究の目的である。特にアルカリイオンが全て欠損したCoO_2では、Coイオンは4価・低スピン状態(S=1/2)にある。つまり3角格子の格子点がスピン半充填状態になるので、上述の幾何学的競合の観点から、基底状態について多くの議論がなされてきた。しかしNa_xCo0_2からNa_0Co02を合成できないので、実態は不明だった。一方LI_xCo0_2では、Li電池の充電反応を使ってx〜0までLiを引き抜く事が出来る。そこでLiを引き抜いた試料をまず合成した。これらは大気中では極めて不安定なので、グローブボックス中で専用セルに密封して、μSRスペクトルを測定した。帯磁率測定の結果も併せて考えると、最低温でCoO_2はパウリ常磁性金属状態にあることを明らかにした。これはCo3角格子上での電子相関が、それほど強くない事を示唆した。さらに幾つかのx組成の試料の測定から明らかになったLI_xCo0_2系の状態図は、Na_xCo0_2系とは全く異なった。
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Research Products
(16 results)