2007 Fiscal Year Annual Research Report
多重同時計測法で探る内殻励起分子の超高速緩和ダイナミクス
Project/Area Number |
19340113
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
繁政 英治 Institute for Molecular Science, 極端紫外光研究施設, 准教授 (90226118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦坂 泰正 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 助教 (00373192)
金安 達夫 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 特別協力研究員 (90413997)
小杉 信博 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 領域 (20153546)
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Keywords | 放射光 / 軟X線 / 内殻励起分子 / 同時計測 / オージェ過程 / 超高速解離 / ドップラー分裂 / 二価分子イオン |
Research Abstract |
本研究の目的は、内殻励起分子の脱励起過程における超高速解離後のオージェ電子放出過程に着目し、1)既存の装置の高性能化によってオージェ電子の隣接原子による散乱に起因する干渉パターンの観測を実現する、2)この観測方法が分子の局所構造解析の新しい実験手法となり得るかを検証する、の二点である。 今年度は、これらを実現するための装置テストと予備的な実験を行った。先ず、既存の観測システムにおいて電子とイオンの多重同時計測信号の中から、必要な情報を抽出することを試みた。具体的には、OCS分子を試料ガスとして、分子を構成する三つの原子の内殻電子をイオン化した際に放出されるオージェ電子の角度分布を、解離イオンとの同時計測信号からの抽出である。リストデータから必要な情報を抽出するソフトウェアの開発を行い、これらの実験データ解析に用いた。その結果、準安定な二価分子イオンの生成に関して非常に興味深い結果を得た。また、電子の角度分布情報が抽出可能であることも確認された。一方、電子エネルギー分析器内の透過率を含めた二次元検出器上での感度の不均一性が大きいため、上記干渉効果のような微弱な強度変調を角度分布情報として観測することは現状では難しいことが明らかになった。 これらの結果と予算規模、及び研究期間を勘案し、研究計画について再検討した結果、既存の半球型電子エネルギー分析器の電源系を高度化し、回転可能な真空チャンバーに取り付けることにより、古典的なな角度分布測定が高精度で行えるシステムを導入するのが最善との結論に達した。来年度以降、これにイオン検出器を組み合わせることにより、共鳴オージェ電子スペクトルの偏光依存性の観測において、電子を放出する原子の運動に伴うドップラー分裂の観測を実現する装置の開発を進めて行く。
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Research Products
(1 results)