2008 Fiscal Year Annual Research Report
多重同時計測法で探る内殻励起分子の超高速緩和ダイナミクス
Project/Area Number |
19340113
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
繁政 英治 Institute for Molecular Science, 極端紫外光研究施設, 准教授 (90226118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦坂 泰正 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 助教 (00373192)
小杉 信博 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (20153546)
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Keywords | 放射光 / 軟X線 / 内殻励起分子 / 同時計測 / オージェ過程 / 超高速解離 / ドップラー分裂 / 二価分子イオン |
Research Abstract |
本研究の目的は、内殻励起分子の脱励起過程における超高速解離後のオージェ電子放出過程に着目し、1)既存の装置の高性能化によってオージェ電子の隣接原子による散乱に起因する干渉パターンの観測を実現する、2)この観測方法が分子の局所構造解析の新しい実験手法となり得るかを検証する、の二点である。 今年度は、昨年度明らかになった問題点を克服する努力を継続しつつ、新しい測定装置の開発に向けた既存の半球型電子エネルギー分析器の電源系を高度化、回転可能な真空チャンバーの設計等、古典的な角度分布測定が高精度で行えるシステムの導入に向けた開発研究を行った。 既存の電子-イオン同時計測装置を用いたテスト実験の継続として、分解能の向上を目指した小改造を施し、電子とイオンの多重同時計測信号の中から、必要な情報を抽出することを再度試みた。具体的には、重水素化したアセチレン分子を試料ガスとして、炭素原子の内殻電子をイオン化した際に放出ざれるオージェ電子を、生成イオンと同時計測した。昨年度開発したソフトウェアを駆使した結果、イオン種或いはイオン対生成の信号でフィルターをかけたオージェ電子スペクトルの抽出に成功した。現在この結果を論文にまとめているところである。また、今回の系でも、電子の角度分布情報が抽出可能であることは確認きれたが、二次元検出器上での感度の不均一性のため、信頼性の高いデータを得ることは困難であると結論づけられた。 一方、新しい測定装置の開発に関しては、必要な構成要素の調達は終わり、今後、組み立て・調整を行ってゆく段階に入ったところである。
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